世界旅日記

フィリピン人と結婚した日本人妻によるハロハロ(雑記)ブログ

自転車天国

 朝は晴れて、午後には氷が降り、まもなくして雪が降りつつも青空が見え、またしばらくして雪がやんで曇り空。
一日自転車で出歩いていた私はこの天候の変化をもろに受けました。
家に到着したときには私の黒いコートにはうっすら雪が積もっており、見た目はクリスマスのモミの木のような様子になり、顔と頭に降った雪は体温で溶けてすっかり上部を濡らし、何とも見るからに哀れな様相となってしまいました。しかし、今日のようなよくわからない天気、晴れていようが、雨であろうが自転車生活は続きます。

 オランダはまさにチャリンコ天国。その台数はひとり一台と言われています。自転車の保有率が高い理由としては①平坦な地形が自転車の運行に適している②ガソリン代が掛からない③自転車専用道路があり運転しやすい④政府の自転車奨励政策⑤自転車市場の広さなどがあると思われます。

平坦な地形
 先日知人の車に便乗してアムステルダム近郊までいきましたが、山が全く見られませんでした。低い土地(ネーデルランド)と言われるように国土の1/4は海抜以下、見聞きしてきたことではあったけれどどこまでも広がる平坦な地形は、自転車走行に適していると思います。地元の日本の某市はアップダウンがきつくて自転車走行が辛いものでした。とりわけ自転車を使った配達バイトをしていた時には急な傾斜の坂道の上がり降り、階段の多さに辟易して、挙げ句の果てには自転車を背負って階段を上り下りしていました。ここではそんな心配はあまりなさそうです。

ガソリン代の節約
 (ポリシーある)倹約家オランダ人、バイクや車のようにガソリン代は掛からない気軽な乗り物自転車は、経済的側面から見て非常に理にかなった乗り物です。バスや電車も定期的に通っているものの、5?10キロほどの距離をバスに乗車すると2ユーロ程は余裕でかかる上、運行スケジュールに合わせて待たなければなりません。5?10キロほどの道のりであれば30分?1時間弱あれば目的地にいくことが可能です。お金も払わなくてもよく、待ち時間もなく、ジムなどにも通わず適度に運動も出来る訳で、これはもう使うしかない!ということなのではないでしょうか。

自転車道の整備
 オランダにある自転車道は本当に便利です。この自転車専用道路は年々拡張されて、オランダの隅々まで通っております。大体はレンガ色のブロックが敷き詰められており、幅は狭いところもありますが、メインの道路にある自転車道は車道1本分ほどの広さです。自転車2台分は横並び運転可能で、時々カップルが手を繋いで自転車を運転しています。大体は同じ方向に走っていくようにしており、逆走はなしということになっています。自転車は車と同じ方向で右側を走るようになっていますが、二車線ある場合は両方向の行き来が可能です。日本では、自転車が歩道を走ったり車道を走ったり境界が不鮮明で、歩行者からも、自動車からも邪魔者扱いですが、オランダでは自転車専用道のため両者を気にする必要があまりありません。

また、自転車用の信号機もあります。自転車道の拡張とともにサイクリング用の看板も各所に設けてあります。現在の所在地と目的地に行くにはどの番号の道路を走るべきかがわかります。

政府の推奨
 政府は企業に対して、通勤手段として自転車の使用を推奨したとものの本で読んだことがあります。企業が自転車を購入して、社員に貸し与えることで企業も減税措置を得られるという方策です。政府は車の使用を抑えることで自動車から排出される温室効果ガスを減らし、企業は自転車を貸与することで減税され、社員は新しい自転車を持つことが出来る訳です。

自転車市場
 新品の自転車を購入する場合もありますが、中古で自転車を安く仕入れます。中古自転車は知り合いを通じで売買されます。値段は30?50ユーロほどの相場でしょうか。今ではフェイスブックなどを通じても売り買いがされています。比較的新しく、良い自転車を見つけることがコツです。そうしないと、修理の費用が購入費よりも高くなってしまうことがあります。先日タイヤのパンクでもう穴を塞ぐのも限界であり、タイヤそのもの交換を必要としましたが、お値段は36ユーロしました。この額ならば新しい自転車の購入も可能でしょう。

 オランダの自転車保有率の高さに憶測も含めていろいろ理由はつけましたが、オランダ人の自転車愛を日々感じます。街中では子どもを載せられるでっかい自転車を見かけたりもします。日本の子ども用の補助椅子のことではなくて、大きな三輪車のような作りで、お母さんが運転する前にビニールの囲いがついていて、そこに子どもが乗る格好になっています。また、自転車に造花ですが飾り付けして、個性を楽しんでいる人も居ます。友人の中には自転車を数台所有している人もいます。普段はボロい自転車を乗り、綺麗で高かった自転車はサイクリングように車庫にしっかりしまって置くのだとか。ぼろ自転車は盗難対策でもあります。お気に入りの、新しい、高い自転車を盗まれたら凹みますからね。そう、ここオランダでも自転車の盗難はかなり多いようで、旦那もオランダ生活一年目にして体験しました。もし街中で自転車が必要になったら、「それ私の自転車よ」と叫んだらきっと数人いるうちの一人ぐらいは心当たりがあって、自転車を置いて逃亡すると本で読んだことがあります。試してみたいものです。
そんな事情もあり、自転車の有料駐車場があります。一台10万円ぐらいする自転車はそのような場所に駐輪されるようです。旦那の大学の地下駐輪場にはCCTV(監視カメラ)付きで、鍵付きの柵で覆われた一角があり、そこには大学職員の高級自転車が駐輪されています。私にはまだ何が普通の自転車と違うのか見分けがつきませんがそこにある自転車はきっと高級なのでしょう。

 こちらに生活し始めた当初は、雨の日に自転車に乗るなんて!と歩いて買い物をしたり、市役所に行ったりしていたけど、近頃は雨だろうと、雪だろうと、今日のような雪で視界が閉ざされようと、道路が凍結していない限りは自転車ということがすっかりへっちゃらになってしまいました。日本も自転車道ができたらいいのになぁと思うのと同時に、節約型生活からもうちょっとステップアップしたい今日このごろです(笑)